出囃子はiPhoneで
「◯◯界」といわれるようなところには様々なしきたりがあるようで。
落語界(と言うかどうかは知りませんが)にも、今回初めて知ったしきたりがありました。
それは「出囃子は前座さんが準備する」というもの。
昨日開催した「アイルランド音楽と落語の夕べ−満月のつどい」に出演した三遊亭わん丈さん。
前回は前座さんという階級での出演。
この5月に二つ目に昇進しました。
で
「出囃子のCDをお借りしまーす」と手を出したら、「あ!」と。
持ってこなかったと言うんです。
どうしようどうしようと、みんなで考えて。
「(アイルランド音楽の守安さんの)笛で登場にしましょうか」とも。
出囃子でも笛が入りますしね。
そうしたら、わん丈さんが「iPhoneには入れてるんですけど」と。
だったら!
用意していたアンプスピーカーはBluetoothを受信できるんです。
(Bluetoothは無線通信の一種です)
そこでわん丈さんのiPhoneとペアリングすると…見事!スピーカーから出囃子が!
(ペアリングがわからない方、ごめんなさい)
すると今度は、「で、誰が出囃子止めるの?」
高座に上がったら出囃子を止めないといけませんが、人様のスマホは個人情報のかたまり。
あんまりいじりたくないものです。
それならいっそ、「iPhoneを持ったまま高座に上がって自分で止めて、ついでにそれをネタにしちゃえば!」
というわけで、前代未聞のiPhone同伴の高座と相成りました。
文明バンザイ!
落語はまだまだ古いもの・事が生き残っている世界ですが、わん丈さんのような若手も入って、少しずつ新陳代謝もしています。
今回のようなことは本当の寄席ではあり得ないことでしょうが、新しい風が吹くことも必要なのかな、と。
噺家さんに負けず劣らずお話が楽しい守安さんのトークも、もちろん健在。
それ以上に演奏が素晴らしいです。
横笛(フルート)、縦笛、何種類もの笛を用意されて。
時には2本の縦笛を同時に吹くということも。
雅子さんはアイリッシュハープ、バゥロンという太鼓にコンサルティーナというアコーディオンの一種などで盛り上げます。
特に2本のスプーンを、カスタネットのように使う演奏は、見なかった人は損してると思いますよ。
時に切々と、時に陽気に、それでいて懐かしいような旋律。
今回、公演後にCDを購入して家に帰って早速聞きましたが、ついさき聞いたのに飽きることなく楽しめます。
お客様もとても喜んで入らした様子。
ぜひ、今後も続けていきたい公演です。
いろんな噺家さんの落語も聞きたいですしね。